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2013.11.21

ダンダリン第8話-1 「不正隠しは会社の利益につながるか」

今回の話も見ごたえがありました。
またまた、長文になりそうなので、2回に分けて書こうと思います。

(1)不正隠しは会社の利益につながるか


今回は、
社主催の強制的な研修」が問題となっていました。

研修が強制的であれば、研修時間は使用者の指揮命令下にある時間ということになり、労働時間に含まれ、賃金支払義務が発生します。
研修時間が、契約した業務時間外であれば、時間外労働手当が発生し、実施時間によっては割増賃金も発生します。
今回のメキシコ料理チェーン店での研修は、表向きは自由参加でした。
ところが、不参加の場合には労働者は不利益な取り扱いを受ける可能性が高く、会社は実質的に研修を強制していたといえます。
この実質的強制につき、会社は証拠を残さないような方法を採っていたため、どうやって実質的強制のあったことを社長に認めさせるかがポイントとなっていました。
ドラマの中では、労働基準監督官が各店の店長を口説き落として、店長全員が各自の会社規則違反を理由に、一斉に仕事を休んで自発的に研修に参加したいと言わせます。
一斉に仕事を休めば業務が停滞することになり、社長は困ります。
そこで、社長は渋々実質的強制を認めます。

・・・と、こんなストーリーでした。


 これらの流れを見ていると、店長がそんなに易々と監督官の説得に応じるのかどうか、店長全員が休んでも社長が強制を認めない場合はどうするのかなどの疑問はあります。
また、社長一人に対して、監督官が店長全員と束になって、実質的強制を認めるのか否かの返答を求めて詰め寄るのは、いささか脅迫的な雰囲気が感じられました。
後々社長が、「監督官らに脅迫されて実質的強制であると言わされた」などと、発言を翻す口実を与えることにはならないのでしょうか。
この辺は、ドラマ特有の、都合がよすぎる展開という感じがします。
今回のつっこみです(笑)

しかし、今回のストーリーには、会社運営に関する重要なヒントがありました。
それは、労働者たる社員を法に反して酷使し、その実態について口止めをするやり方は、現代ではもはや通用しないということです。
インターネットの普及が著しいここ数年、あらゆる情報が瞬時に、かつ多数人に共有されます。
会社を退職した人が、「ここの会社はこんなにひどい」と実情をネットに流せば、瞬く間に広がります。
その内容が本当であれば、他に退職した人の証言を集めることも可能であり、調査や摘発のきっかけとなります。
また、社員同士の情報のやりとりも瞬時に可能であることから、団結して会社を告発することも可能となります。
ネットの情報が、確実性や信用性という点に問題を抱えているとしても、情報自体の流れを止めることはできません。
不正の疑いが明るみになれば、行政機関の調査や社会による非難など、何らかの動きにつながります。
そして不正が実際にあったとすれば、会社がその不正によって得ようとした利益とは比べものにならないほどの不利益を被ることになります。
場合によっては、会社の存続すら危うくなります。
今回も、これまでの研修時間分の賃金を払うことになり、利益を吐き出す結果となりましたし、社会的な非難に遭う可能性もあるでしょう。

「これからの時代、従業員さんとの信頼関係を基礎にする会社こそが、長期的に見て利益を上げ続けられる会社になる」改めて、認識させられたストーリーでした。


次回は、
(2)研修制度の是非とそのやり方について、書いてみようと思います。

社会保険労務士 繁笑事務所

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